大塚国際美術館

料金が高くて有名な大塚国際美術館に行くことにした。

美術館の前を通りがかったら、駐車場らしきものが無い。案内に従っていったら、はるか先の海っぺりに駐車場が。「美術館まで徒歩8分」だって。「ここから歩くのかよ〜」と思ったら、なんと、美術館までリムジンバスが出るのでした。さすが、ゴージャス!

噂どおり高額な入場料3150円払って入ったら、ちょうど地元の教職員の団体さんが学術員のガイド(岡村さんという方)つきで入館するところだった。ラッキー!というわけで、彼らに小判鮫のようにくっついて、ガイドツアーに参加することにした(注;個人客向けには、ガイドツアーはしていないそう)

まず、この建物の説明。国立公園内にあるということで、高さ13m以下という規制があるため、展示室は地下3階〜3階になってしまった。全部見ると4.5キロも歩くことになるらしい・・・。入場口のあるのは、地下5階(?)。ここから、千代田線お茶の水駅もびっくりの長いエスカレーターで入場する。

ここの作品は皆、世界の有名な絵画を、実物大で退色しないセラミックで焼いて再現している。

また、例えば、ミケランジェロのシスティーナ大聖堂の壁画等は、建物の内部をそっくりそのまま再現して展示している。

そういうわけで、お金がかかっているので、こんな料金になってしまったらしいが、わざわざ海外に行かなくても同等の作品を見られること(海外旅行するより安い!)を考えれば、あながち損ではない、との話。一部の作品は、戦乱等で各地に分散してしまって、完全に復元された形で見られるのは、ここだけらしい。また、ここでは、海外のオリジナルの作品みたいに混雑していないから、何時間でも見ていてもOKだし、写真撮影(人物が写っていればよいらしい)も自由。

触るのも自由。

絵の具の剥げたところ、ざらざらしていて、本物と同等の質感らしい。

「汚れた手では触らないで」と言われたが、少々ひっかいた程度では、傷もつかない。これがセラミック。

このセラミックは1300度で焼かれているので、2000年以上保つ。水没してもOKらしい。

作品は、こんなふうに展示されていた。

エル・グレコの元の作品はナポレオン戦争で破損、今では、プラド美術館等、いくつかの博物館に分けておさめられている。全ての作品を昔の金箔ばりの衝立にして復元してあるのは、当美術館だけ。

ちなみに、大原美術館のは縮小版である。

ポンペイの作品もいくつかあった。一部屋使ってまるまる再現してあった絵は「ある女の受胎告知」(左写真)を現しているものと考えられているが、他にもいくつか解釈がある。

庭園に飾られていた「貝殻のビーナス」の絵も植え込みごと再現。当時はビーナスは園芸の守り神だったらしい。

モネの睡蓮。睡蓮の池の後ろに配置して展示。

この絵には青い睡蓮が描かれているが、青い睡蓮は熱帯性なので、モネは見たことが無いはず。最近、高知の園芸家が日本で初めて、青い睡蓮を咲かせるのに成功したそう。

ギリシャの棺桶画。棺桶ごと再現。

「最後の晩餐」。

ユダは誰だ?という解説。

「ゲルニカ」。

現在、ソフィア王妃芸術センターにあるが、もうすぐゲルニカ地方に移される予定。門外不出なので、実物大で見られるのは、国内ではここのみ。

他、「暇なら読んで」のコーナー。

ミケランジェロは漆喰で描くフレスコ画を得意としたが、これは漆喰が生がわきのうちにてきぱき仕上げなければならない。で、気まぐれなダビンチは、漆喰画は描かず、生卵を使ったテンペラ画専門だったらしい。

○ミケランジェロの「最後の審判」に描かれている「自分の生皮を持つ聖人」はミケランジェロ自身の顔。
○ミケランジェロの描く女性は筋骨たくましいが、これはヘレニズム趣味で、一部の画家には不評。
○「最後の審判」は1m×3m×2センチ(150キロ)のセラミックを110枚つなぎ合わせて描かれている。この展示室、イタリアのシスティーナ礼拝堂の再現で、天井の高さが15mある。

○ラピスラズリ(青)はマリア様自身の色。


○イタリアのパドバのスクロヴェーニ礼拝堂は、聖母マリアの誕生を現している。青い宝石箱のような雰囲気で、長椅子つき、賛美歌のBGMつき。昼寝してしまう人もいるらしい。

○ポンペイから出土したアレキサンダー大王の「イッソスの戦い」。よく世界史の教科書に出ているこの絵、実は、2〜3ミリのモザイク100万個で描かれている。セラミックでこれは再現しきれず、細部は印刷だった。
○540年、イタリア「皇后テオドラと侍女たち」--これも世界史の「東ローマ帝国」の項に載っていた。実物は金箔を使って描かれていたらしい。

○カッパドキアの910〜20年頃の、顔の削られた聖人画。イスラム教信者のしわざらしい。


質感まで再現されたタペストリー手法は企業秘密らしい。なお、このセラミック画作ったのは、大塚グループの会社だそう。

○ラファエロ--「アテネの学院」という作品に、アリストテレス、プラトンが描かれているが、これはそれぞれミケランジェロ、ダビンチの顔を使っている。
○ボッテイチェリ「ビーナスの誕生」--この絵はキャンバス地のような布に描かれているが、1485年当時は板絵が中心だったので、珍しい。

○メディチ家に依頼されてボッテイチェリが描いた「春」という作品、モデルになった女の名前が「シモネッタ」。このシモネッタさん、肺結核で、絵の完成の2年前に死んでいるそう。よくそんなことがわかるな〜。

モナリザは本来もっと大きな作品だった。ナポレオンが、「額縁に入らないから」という理由で両端を7センチずつ切り落としてしまったらしい。ラファエロの模写から、この事実が判明。

○レンブラントの「夜警」は、暗く描かれているが、本当は昼の絵。
○ダヴィッドの「皇帝ナポレオン一世と皇后ジョセフィーヌの載冠」。描かれている人物に冠する蘊蓄。ナポレオンの嫁の娘の家庭問題等。
○ゴッホの「ガシェ博士の肖像」。ガシェ博士は、ゴッホの精神科医。この絵、125億円の値がついたことがあり、この記録はまだ破られていない。
○ミレー「落ち穂拾い」に描かれているのは、貧乏な階層の人たち。
○ルノワール「浴女たち」。太って五段腹の女が描かれていて、画家の間でも賛否両論。
○モネは金欠で、モデルに身内の女を使ったりしていた。糖尿病で視力が悪く、リウマチもわずらっていたらしい。
○ドガ「踊り子」。ドガは写真(=瞬間の芸術)も扱っていて、彼の描いた絵、人物が一部、わざと画面から切られていたりする。

ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」--ルーブル美術館で、この絵を持ち出すさい、「丸めないで運ぶこと」という条件がつき、日本の国立美術館?はこの条件をクリヤーするために、飛行機を1億円で改造し、保険を80億円かけて運搬した。で、100万人の観客が入ったので、元が取れた。

○ゴヤ--私生児80人のプレイボーイ。「アルバ公爵夫人」という絵で、婦人が地面の「ゴヤ一人」と描いた文字を指さしている。「こんなこと描いたら、侯爵に怒られませんかね?」と質問したら、「ゴヤのプレイボーイぶりはあまりにも有名だったので、今更問題にならなかったのでしょう」とのこと。

ということで、2時に入館して、3時間近く説明をきいてしまった。最後のゲルニカが1階ということは、私、2階と3階の展示室、見てないんだよな。3時間かけても見切れない美術館!すごい!

最後に売店に寄ったら、5年くらい前に流行ったムンクバルーン(ふくらますと「叫び」の人物になる。大130センチ、5250円、小45センチ、1890円)、ボンカレー、ファイブミニ携帯ストラップ、ポカリスエットタオル、オロナミンCマフラータオル、カロリーメイトスポーツタオル等が売られていた。私は何も買わなかったけど、お土産にいいかもしれない。

●大塚国際美術館
徳島県鳴門市土佐泊浦字福池65-1、鳴門北IC等に表示あり、088-687-3737
9時半〜17時、月休、3150円、駐車料バイク50円、音声ガイド500円